横浜ウォッチャー

All About横浜 ガイド・タナベのブログ。横浜で見た・聞いた・食べたことをさくっと綴ります。

キリンビール・メルシャン・キリンビバレッジ3事業の生産拠点があるのは神奈川県だけ!地域に愛される存在に

キリンビール、キリンビバレッジ商品

横浜・神奈川に拠点を置くキリングループ各社の2020年度の事業方針合同説明会が開催。キリンビール横浜支社、キリンビール横浜工場、メルシャン藤沢工場、キリンビバレッジ横浜支社の各代表が2019年度の振り返りと2020年度の事業方針を発表しました。

 

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本麒麟」がけん引!新ジャンルの販売数量は過去最高を記録

キリンビール横浜支社 園部支社長

キリンビール横浜支社 園部 好支社長(上画像)は、2019年の販売実績について、「主力ブランドとなる『一番搾り』と新ジャンルの『本麒麟』への集中投資により、ビール類の販売実績は2年連続で前年増を達成した。まずまずの数字」と振り返りました。

一番搾り

ビール類の販売数量が市場全体(見込み)で-1%程度だったことに対し、キリンビール(全国)は+0.3%に。中でも新ジャンルは+9.2%(全国)と、市場全体(見込み)+4%を大幅に上回る結果に。

本麒麟

「『本麒麟』がけん引し、新ジャンルの販売数量は過去最高となりました。社員自らがお客さまのために、と動いた結果」(園部支社長)

 

 

 

ラグビーW杯日本大会のワールドワイドパートナーであったビール「ハイネケン」の実績は、前年比150%となり目標を達成。国内のハイネケンをすべて製造したキリンビール横浜工場は、フル生産で対応したとのことです。

ハイネケン

「決勝戦などの会場となった新横浜エリアでは、飲食店やコンビニをしらみつぶしに回り、ハイネケンの露出を多くし、販売していただいた。1店舗で1年分を売り上げたところもあると聞いた。ブランドが認知されたので、2020年度も継続したい」(園部支社長)

タップマルシェ

2019年度に注力するとした、飲食店向けに1台で4種類あるいは2種類のクラフトビールが提供できる「タップ・マルシェ」について、園部支社長は「2015年当時、クラフトビール取り扱い店は300店舗とされていた。2018年は7000店、2019年は約1万3000店にまで伸びたとされる。タップ・マルシェの設置が後押ししたと考える」と述べました。

 

酒税法の改正により、2020年から2026年にかけて、段階的にビール類の税率が一本化されることに向け、「2020年10月に改正の第一弾を迎え、ビールは77円から70円と下がり、新ジャンルは28円から37.8円に上がる。ビールカテゴリーは酒税改正を追い風に、今後大きく伸長することが見込まれる。強いブランド以外は淘汰されると考え、高価格帯のクラフトビール、スタンダードの一番搾り、エコノミー帯の本麒麟、のどごし<生>という主力ブランドを10年後も愛されるブランドとなるようにしたい。新たな価値のある商品として、健康ニーズ(淡麗グリーンラベル、カラダFREE)の商品も経営の基盤となるよう育てていく」と、対応への意欲を示しました。

カラダFREE

2019年の動向をふまえ、2020年の方針として、主力ブランドを強固なものとして、ビール類で3年連続の販売数量前年比を目指すとし、一番搾り(缶計)は前年比+10%、本麒麟は+26%を目標値として掲げます。

 

クラフトビールを提供する「タップ・マルシェ」(2020年1月31日現在13ブルワリー、27液種)については、2019年度と同レベルとなる6000店増に設定し、ビール全体の需要を喚起させたい、としました。

 

神奈川県内の活動強化ポイントは次の通り。

  1. ビールの再強化……客単価の下落を食い止めるための価値ある商品を提供し、品質を上げる
  2. 接点拡大……「1本」「1店」に執着し、キリンビール製品を飲める場、買える場をさらに増やす
  3. インバウンド対策……ラグビーW杯での経験をもとにした外国語メニューの提案
  4. RTD、洋酒(UK商品)……氷結、本搾りなどのRTD商品(Ready to Drink=そのまますぐ飲める缶チューハイハイボール缶など)、川崎市がUKのホストシティになることを踏まえUK商品(ギネス、ジョニーウォーカー、ゴードン、タンカレーなど)の露出

「横浜生まれのキリンビールは、地域密着の取り組みで神奈川を応援していきます。1本でも多く届けられるよう、お客さまの期待に応えてまいります」と、締めくくりました。

 

地域との絆をより強固なものとして取り組む

キリンビール横浜工場 神崎工場長

キリンビール横浜工場の神崎夕紀工場長(上画像)は「2020年も引き続き、首都圏の主力工場・イノベーションファクトリー横浜として、お客さまに新しい価値をお届けしたい」と述べ、キリンビール発祥の地で生産を続ける工場として、CSV(Creating Shared Value=社会価値と企業価値を両立させようとする考え方)マインドを持ち、地域との絆をより強固なものとして取り組むことを約束。

タップマルシェ

クラフトビール文化の発信拠点として、「タップ・マルシェ」用の小型3リットルペットボトル商品(現在はこのペットボトルに充填できるのは横浜工場のみ)の安定供給に加え、横浜工場にあるスプリングバレーブルワリーを活用したコミュニケーションを展開し、クラフトビールを通じた「ワクワクするビール文化」の創造を実現したい、としました。

 

合わせて、ICT技術やAIを活用し、オペレーションの効率化、生産性・品質の向上を目指します。

 

2003年から横浜工場で始まったビールづくり体験教室が2020年5月上旬に2000回を迎えることを記念し、この日にしか造れないビールをお客さまと一緒に造りたい、とする考えを明らかに。

「日本ビール産業の祖」と呼ばれる、アメリカ人技師・ウィリアムコープランド横浜市キリンビールのもととなる「スプリングバレーブルワリー」を開いて150周年となることから、それにちなんだオリジナルビールの試作にも熱が入っているそうです。

 

地域に愛される工場として、近隣企業と協働した工場見学を開催。3月はファンケル、7月は日産、8月は外国人観光客向けとしてヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテルとのコラボが決定しています。

※「キリンビール×ファンケル 春のビール工場&研究所見学ツアー」は3月25日に開催決定。2月13日よりインターネットにて受付を開始します。

www.kirin.co.jp

 工場内にある2つのレストラン「スプリングバレーブルワリー横浜」「レストランビアポート」では、鶴見区内で生産された野菜をはじめ、神奈川県産みやじ豚、横浜産はまポークなどのメニューの展開を2020年1月からスタート。より一層、地産地消への取り組みを深めます。

レストランビアポート

レストランビアポートで提供される「はまぽーくシュニッツェル」※発表会会場にて撮影

「2019年は、高速道路高架下のスペースに整備した緑地が国土交通大臣賞などを受賞し、活動が評価された。地域の学校や企業、商店街などと連携し、講演やアドバイス、イベント等も実施。また工場見学者は5%以上が外国人であることから、外国人観光客向けの対策を一層強化していきたい。2020年度も社会や地域との絆を深めて、ともに発展・繁栄する企業を目指す」(神崎工場長)

travelyokohama.hatenablog.jp

 

午後の紅茶」ブランド販売箱数が過去最高を記録

キリンビバレッジの事業方針については、キリンビバレッジ横浜支社・佐藤栄二支社長(上画像)と湘南工場の高橋伸夫工場長が登壇。清涼飲料市場環境や2020年の戦略、新商品、湘南工場の取り組みなどについて発表しました。

2019年の振り返りでは、清涼飲料市場が前年比-2%だったにも関わらず、販売箱数が2年連続で過去最高を記録。中でも午後の紅茶」ブランドの販売箱数は過去最高を記録しました。「首都圏として大きく伸長させることができ、紅茶カテゴリーの活性化につなげることができた」(佐藤支社長)

2020年は、CSV(Creating Shared Value=社会価値と企業価値を両立させようとする考え方)の実践を軸とした成長による利益創出を戦略フレームとし、午後の紅茶」で2年連続過去最高の販売数量達成を目指します。

午後の紅茶 ザ・マイスターズ

昨年販売した「午後の紅茶 ザ・マイスターズ ミルクティー」が “低カロリーで甘くないミルクティー” というコンセプトが受容されヒットしたことを受け、2020年は3月17日にリニューアルするとともに、同シリーズのオレンジティーも発売。

キリン 生茶 リニューアル

2020年に販売20周年を迎える「生茶」は、発売時のコンセプト「生」に立ち返り、ブラッシュアップして「生」のおいしさが実感できる中味・パッケージに進化。2020年3月3日にリニューアル、前年比プラスを目指します。

2020年のCSV活動の取り組みとしては、「摂り過ぎない健康(無糖・低糖)」「プラスの健康」「持続可能な物流体制」「リサイクル体制」を挙げ、CSVの実践と軸とした成長による利益創出を目指します。

プラズマ乳酸菌
▲ i MUSE(イミューズ)シリーズからは「プラズマ乳酸菌<水>」が新登場

▲オフィスにスムージーと健康セミナーを届ける法人向け福利厚生サービスを支援するサービス「Naturals(ナチュラルズ)」も展開

 

高橋工場長(下画像)はキリンビバレッジ湘南工場の2019年を次のように振り返りました。

キリンビバレッジ湘南工場 高橋工場長

製造関連では、2年連続最高製造量3900万箱を達成。再生樹脂100%のPETボトル商品の製造対応も行いました。

CSV活動は、工場のある寒川町と連携し、さむかわ中央公園に社会貢献型「おむつ自動販売機」を設置しました。「子育て世代に好評を得た」(高橋工場長)

また、中学生の職場体験を受け入れるなど、地域の若者の育成にも力を入れます。

2015年4月のリニューアル以来、工場見学の来場者は12万人超に。小学生の学習内容に合わせて主体的に学べる内容を取り入れたり、寒川エリアの企業活性化の一環として異業種とのコラボセミナーも開催したり、紅茶セミナーを実施したりと、地域の発展・紅茶の魅力発信に貢献しています。

 

2020年は、製造ライン(3列)の効率化・省力化を目指し、設備を導入。生産性・品質向上はもちろん、安全な職場づくり、働き改革にもつなげます。

また、大型PETボトルの軽量化(38.2g→32.2g)を進め、環境負荷の低減を図ります。

高橋工場長は、「昨年同様、CSV活動、近隣企業との連携を継続する。たくさんの方に楽しく、ものづくりを体感していただけるよう、心を込めた工場見学を行っていきたい」と、締めくくりました。

 

果敢なチャレンジでワインの魅力を伝達 

メルシャン藤沢工場 工藤工場長

神奈川県藤沢市に工場があるメルシャンについては、藤沢工場の工藤裕之工場長(上画像)が発表。

ワインの市場動向について、「課税移出数量は関税撤廃などの影響で増加しているが、実際の販売数量が減速しており、厳しい現状が続いている」と述べました。

昨年取り組むとした「20代30代の間口拡大」については「できていない」とし、「ワインを飲む習慣のある方には定期的に購入いただけている」と、現状を振り返りました。

 

2020年のメルシャン事業方針について、「果敢なチャレンジでワインの魅力を伝達する」という戦略を挙げました。

間口を拡大してワインファンを増やす戦略として、若年層やワインエントリー・ライト層をターゲットとし、カジュアルスパークリング、シードル・低アルコールワイン、ノンアルコールワインなど、食前から食後までの多様な飲用シーンに対応する商品を提案。

おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル
▲「おいしい酸化防止剤無添加ワイン グレープフルーツシードル」(右)は、グレープフルーツ果汁100%を使用したスパークリングワイン。リンゴ果汁100%を使用した「おいしい酸化防止剤無添加ワイン シードル」(左)が好評だったことから開発されました

 

2019年度、オーガニックワインの販売量が前年比164%と絶好調であることから、エシカル消費への高まりに着目し、自分と地球環境にも優しく、安心して日常飲めるオーガニックワインを提供。オーガニックワインが爆発的に増加しているヨーロッパを中心に、世界中からラインナップを拡充していきます。

メルシャン オーガニックワイン▲新発売のオーガニックワイン「ラ・コロンバ ピッコラ」(左の2本)は、イタリアからタンクで輸入し、藤沢工場で瓶詰めすることで、輸送時のCO2排出量の削減にも貢献しているそう

 

合わせて、強いブランド「ビストロ」のリニューアルや、国産ワインブランド「シャトー・メルシャン」を日本ワイン代表ブランドとなるようポジションを確立していきたい、としました。

シャトー・メルシャン

2019年以オープンした椀子(まりこ)ワイナリー(長野県上田市)で仕込んだ、白・ロゼワインは2020年に初出荷予定

 

2020年にメルシャン藤沢工場が100周年を迎えることから、7月に初めてとなる「工場開放祭(仮称)」を、11月に藤沢市と連携し「第6回藤沢ワイン祭り」の開催を予定しています。

都道府県別ワイン生産量」トップを誇る神奈川県でその95%を占めるのが、メルシャン藤沢工場。「日本のワイン市場をけん引しているのは、メルシャン藤沢工場。100周年を機に、工場見学や出張ワインセミナーに参加していただきたい」と、工藤工場長は意気込みます。

 

キリングループ3事業(キリンビール、メルシャン、キリンビバレッジ)の生産拠点があるのは、全国でも神奈川県だけ。キリングループ全工場は地域の皆さまに愛される存在になるべく、今後も神奈川県を応援していきたい、とのことです。

 

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