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横浜美術館で過去最大規模となる原三溪の展覧会開催中!後期展示替えの注目作品

エントランスの様子

エントランスの様子

横浜美術館で、企画展「横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション」が2019年7月13日(土)から9月1日(日)まで開催。

 

横浜において生糸貿易や製糸業などの実業で財を成した原富太郎(はら とみたろう、号:三溪<さんけい>、1868~1939年)の「コレクター」「茶人」「アーティスト」「パトロン」としての業績に焦点を当てて、約150件の美術品や茶道具などを展観、三溪の文化人としての全体像を描き出します。

ロビーには同展のフォトスポットがあります

ロビーには同展のフォトスポットがあります

横浜美術館開館30周年にふさわしい、ゆかりの地で開催される過去最大規模の原三溪の展覧会です。8月9日からは後期となり、多くの作品が展示替えとなります。注目の作品を紹介。

※画像はすべて2019年7月12日の記者内覧会にて撮影

 

同展は「プロローグ」「三溪前史──岐阜の富太郎」「コレクター三溪」「茶人三溪」「アーティスト三溪」「パトロン三溪」という章立てで、三溪と芸術との関わりを紐解いています。

 

プロローグ

同展がダイジェストでわかる展示内容となっています。三溪が描いた《白蓮》2作品が展示されているのを見ると、三溪自身もアーティストだったことがよくわかります。

プロローグ展示風景

プロローグ展示風景

 

<後期から展示される注目作品>

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画像提供:横浜美術館

重要文化財 伝本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)《沃懸地青貝金貝蒔絵群鹿文笛筒(いかけじあおがいかながいまきえぐんろくもんふえづつ)》江戸時代初期(17世紀)、大和文華館蔵 ※展示期間:8月9日(金)~9月1日(日)

 

第1章:三溪前史──岐阜の富太郎

青年期の三溪の作品のほか、三溪のふるさとである岐阜の生家や家族との写真、三溪の父が書いた日記などを展示し、三溪と岐阜との関わりを紹介。※展示替えなし

第1章展示風景

第1章展示風景

<注目作品>

原富太郎《乱牛図》明治17年(1884)(写真左)は、16歳の時の作品で、柔らかな筆致で丹念に描きこまれた画面には、若き三溪の技量が伺えます。※全期間展示

 

第2章:コレクター三溪

第2章展示風景 ※画像内の一部に展示替えとなった作品あり

第2章展示風景 ※画像内の一部に展示替えとなった作品あり

生涯で5000点超の美術品を購入したという三溪。作品の購入先や金額を自ら克明に記録した買入覚や数種の蔵品目録を残しています。貴重な記録類から、コレクションの遍歴を辿り、また、三溪の美術史観を読み解きます。

三溪が刊行しようとした所蔵名品選『三溪帖』の草稿(関東大震災で焼失し、未刊)

三溪が刊行しようとした所蔵名品選『三溪帖』の草稿(関東大震災で焼失し、未刊)

 

<後期から展示される注目作品>

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画像提供:横浜美術館

国宝 《寝覚物語絵巻(ねざめものがたりえまき)》(部分)、平安時代後期(12世紀)、大和文華館蔵 ※展示期間:8月9日(金)~9月1日(日)

 

第3章:茶人三溪

三溪は茶道具の収集も行い、慣例にとらわれない道具の取り合わせなどで自由な趣向の茶事を楽しみました。三溪愛用の茶道具を、茶会記や茶会にまつわる逸話などを参照しながら紹介。

第3章展示風景

第3章展示風景

<注目作品>

晩年に長男・善一郎を46歳の若さで亡くした際に開かれた茶会で用いられた、源実朝筆《日課観音》や《井戸茶碗 銘 君不知》(上写真)※全期間展示

 

第4章:アーティスト三溪

第4章展示風景

第4章展示風景

三溪は自らも書画をよくし、数々の作品を残しています。故郷岐阜の豊かな自然の中で育ち、伯父らに絵画や詩文を学んだとされます。関東大震災後、横浜の復興に専念した三溪は、美術品の購入や作家への支援を自粛し、自ら書画を多く制作するようになりました。その創作の精神は、自ら設計し、古建築を移築し完成させた三溪園に結実。私邸を含むこの庭園は、作家支援の場にもなり、万人に無料で開放されました。

 

<注目作品> 

三溪が最も多く描いた画題「蓮」の作品に注目。輪郭線を用いずモチーフの形態を直接彩色する没骨の技法で描かれています。

※展示替えなし

 

第5章:パトロン三溪

第5章展示風景 ※展示終了した作品もあり

第5章展示風景 ※展示終了した作品もあり

実業以外の三溪の功績で最も広く知られるのが、日本美術院の画家を支援したパトロンとしての役割でしょう。生活費や研究費の支給、作品の購入といった直接的なものに留まらず、豊富な古美術の収集品を実見する場を美術家に与え、夜を徹して共に議論するといった教育的支援にも及びました。三溪から援助を受けた美術家たちは、三溪園や三溪の別邸から得た着想、そして三溪所蔵の名品に養われた見識によって数々の名作を生み出しました。

 

<後期から展示される注目作品>

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画像提供:横浜美術館


重要文化財 下村観山 《弱法師(よろぼし)》大正4(1915)年、東京国立博物館蔵、Image:TNM Image Archives ※展示期間:8月9日(金)~9月1日(日) 

 

「原三溪美術館」の建設を夢見ていたとされる三溪。同展は、その実現できなかった美術館があったら……という観点で作品を選んだそうです。前期を見たという方も、まだ見ていないという方も、横浜に里帰りした、三溪の旧蔵品を代表する珠玉の美術品をぜひご覧ください。

 

横浜美術館開館30周年記念 生誕150年・没後80年記念 原三溪の美術 伝説の大コレクション
期間:2019年7月13日(土)~9月1日(日)
会場:横浜美術館横浜市西区みなとみらい3-4‐1)
開館時間:10:00~18:00
※毎週金曜・土曜は20:00まで開館。最終入館は閉館の30分前まで
休館日:木曜
料金:一般1600円、大学・高校生1200円、中学生600円、65歳以上1500円、小学生以下無料
※毎週土曜日は高校生以下無料(要生徒手帳、学生証)、障がい者手帳をお持ちの方と介護の方(1名)は無料、観覧当日に限り企画展の観覧券で「横浜美術館コレクション展」も観覧可

 

 

 

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