横浜ウォッチャー

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堀口珈琲 横浜ロースタリーが本格始動!8月より一般向け見学会も予定

スペシャルティコーヒーの専門店・堀口珈琲が新たなコーヒー豆焙煎施設として「堀口珈琲 横浜ロースタリー」を新山下エリアに設立。2019年2月に竣工、3月から初期稼働を開始し、6月から本格稼働しています。

f:id:travelyokohama:20190620180625j:plain横浜ロースタリーは、最高品質のコーヒー豆を清潔な環境で効率よく製造する食品工場であると同時に、一般の来訪者が一連の製造工程をリアルタイムで間近にかつ安全に見ることができるミュージアムの機能も備えた、全く新しいタイプの焙煎所です。

 

8月以降から予定されている一般向けの見学会に先立ち、報道関係者に内部が披露されましたので紹介します。

※画像はすべて2019年6月19日に行われたプレス内覧会にて撮影。一部一般向けの見学会の内容とは異なります。

 

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コーヒー豆の製造工程をガラス越しに見学

横浜ロースタリーで見学することができるのは、コーヒーの生豆(なままめ)の選別、保管状況、焙煎機で焙煎する様子、焙煎後の豆の選別、ブレンド、包装・検査の様子。

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すべてガラス越しでの見学となります。このようなミュージアムの機能を設けた理由は、来訪者に堀口珈琲のコーヒー焙煎豆製造についての理解を深めてもらいたい、との思いから。

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8月以降にスタート予定の見学会はロースタリーならではの体験付きで、無料で行う予定。内容が決定次第、堀口珈琲の公式サイトに情報が掲載されます。無料の見学会のほか、有料でのセミナー開催も検討中だそう。

 

また、小売り販売やカフェスペースはなく、今のところ、事前に申し込みした見学者のみの対応となりますので、ご注意ください。

 

さらなる品質安定を目指す、横浜ロースタリーとは

伊藤亮太社長は横浜ロースタリーの新設について、「コーヒー豆は基本的には安心なものであり、コーヒーとしておいしく、飲みやすく仕上げることが最も重要なことです。横浜ロースタリーの新設により、生豆の焙煎はもちろんのこと、生豆の保管等の焙煎前の処理、焙煎豆の選別・ブレンド等の焙煎後の処理についての機能を、これまで以上に高めることができました。さらなる製品の品質安定・向上を目指します」と説明。

 

また、新山下には輸入してきた生豆を保管する倉庫があり、これまで焙煎所としていた東京都狛江までの輸送コストを削減すると同時に、タイムロスなく必要な量だけ倉庫から生豆を運んでくることが可能に。より柔軟に、製造量の増加に対応することができるようになったとのことです。

 

プレス向けに工場内部が披露されましたので、紹介します。

f:id:travelyokohama:20190620181849j:plain▲倉庫から運ばれてきた生豆は、空気搬送機で入荷前室から運ばれてきて、色差選別機で一粒ずつチェック

 

f:id:travelyokohama:20190620181908j:plain▲異物が取り除かれた生豆は、密封状態で保管

 

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f:id:travelyokohama:20190620181925j:plain▲焙煎機はフジローヤル(20kg)直火式が2台。1台はこれまで狛江店で使用していたもの、もう1台は新しいもの。メンテナンス中のフジローヤル(10kg)直火式も加わる予定。最終的にはもう1台加え、将来的には4台での稼働を目指すそう

 

 
 
 
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f:id:travelyokohama:20190620182017j:plain▲焙煎豆は選別機による一次選別を経て、ハンドピックによって二次選別されます

 

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▲焙煎後に色が薄い未完熟の豆をひとつひとつ取り除きます

 

f:id:travelyokohama:20190620182556j:plain▲機械によってブレンドされた焙煎豆は、クリーンな充填・梱包室で包装され、ウエイトチェッカーとX線検査機で1パックずつ検査された後、出荷されます

 

殺風景な工場を居心地の良さを加えて“豊かな建築”に

2階にはセミナー室など2部屋があります

2階にはセミナー室など2部屋があり、吹き抜けになっているので、室内や廊下からも1階の製造区画が見下ろせます


横浜ロースタリーの設計を担当した高塚章夫さんは「工場を“豊かな建築”にしたいと考えました。工場の必要条件である機能的・経済的であること、徹底的な衛生管理に加え、居心地の良さを備えたい、と。空間にさまざまな仕掛けをしました」と、振り返りました。

1階通路の壁にはコーヒー豆を混ぜ込んだ壁材が使われています

1階通路の壁にはコーヒー豆を混ぜ込んだ壁材が使われています

豆の流れを時計回りとし、平屋建てで延床面積を減らすことで延床面積を減らし、コストを削減。建物の上部から外光が入るようにしたり、木材やコーヒー豆を混ぜ込んだ壁材など“家”らしい素材を使ったりして、殺風景な工場ではなく、豊かな建築を実現しています。

 

コーヒーのブレンディングを初体験

焙煎豆の製造工程見学と合わせて、横浜ロースタリーで焙煎されたコーヒーのテイスティング、ブレンディングも体験させていただきました。

▲なんと、堀口珈琲の創業者・堀口俊英会長の講義付きでした!

 

ブレンディング体験は、期間限定販売されていた『パパブレンド』に使用した4種類のスペシャルティコーヒーをブレンドして、好みのブレンドコーヒーを作ってみるという内容。

まずはそれぞれ個別に味わってみて、好きなようにブレンドしていくのですが、どういう味になるのか想像できず、なかなか難しかったです。最終的に好みの味になったかどうかも判断できず(苦笑)。

 

堀口会長から、堀口珈琲のブレンドの歴史についてのお話を伺うこともできました。

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1990年に堀口会長が自身のコーヒー店をオープンしたころは、「生豆のクオリティが安定していなかったので、今で言う『シングルオリジン』の豆を売ることができませんでした。味を安定させるために、ブレンドせざるを得なかった時代です。そして、お客様が味を想像しやすいように『まろやか』『さわやか』『味わい』『ふかいり』とネーミングしたのですが、当時、コーヒーにそのような名前を付けた商品はありませんでしたから、お客様は『まろやかください』って言えなかったようで……『これください』と(笑)」(堀口会長)

 

「徐々にコーヒー農園に足を運び、良質なコーヒー豆に出会うと『10年間買い続けるから売ってください』と直接取引するようになりました。ようやくシングルオリジンの豆を売ることができるようになりました。が、それだけではおもしろくありません。2000年代は堀口珈琲のカラーを出そうと、試行錯誤しながらブレンドをつくっていた時代です」(堀口会長)

 

「2010年代は、良質な豆を使い、新しい味を創造する時代となり、堀口珈琲では9種類の定番のブレンドを作りました。1年中同じ味にするために、100種類以上の豆を使って実現しています。というのも、豆そのものの成分が変化し、味が変わるからです。輸送・保管状態によっても風味は変化します。どんな豆を使っても最終的に味が同じになるよう、豆の配合を決めています」(堀口会長)


思いがけなく堀口珈琲の歴史が聞けて、楽しく、有意義な時間となりました。

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新たなコーヒーの魅力を発見できる拠点となりそうな「堀口珈琲 横浜ロースタリー」。個人的には横浜ロースタリーだけのブレンド豆(新山下ブレンドとか!)の販売や、新山下エリアの横浜の企業(美濃屋あられ製造本舗濱文様など)とのコラボ商品などが生まれるとうれしいです。

 

■堀口珈琲 横浜ロースタリー
住所:横浜市中区新山下3-11-42
アクセス:横浜市営バス 見晴橋バス停より徒歩約3分、みなとみらい線 元町・中華街駅5番出口より徒歩約20分
※豆の小売り、カフェ等はありません。見学は予約者のみ

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▲最寄りバス停の見晴橋からは徒歩約3分。みなとみらい線 元町・中華街駅まで歩いてみましたが、さほど距離を感じず、迷うこともありませんでした

 

▼堀口珈琲の店舗は、東京都内では世田谷店、狛江店、上原店の3店(ぜひ横浜にも出店して欲しいです)

www.kohikobo.co.jp

▼堀口珈琲の豆はwebショップでどうぞ

kohikobo.com

▼見学会でブレンドしたコーヒー豆が届きました!

travelyokohama.hatenablog.jp

 

 

 

【関連記事】

▼堀口会長が2002年ごろに立ち上げた、優れた生豆を確保するために作ったビーンズショップのグループ「LCF」(=Leading Coffee Family)の豆を使っている横浜のカフェ「テラ コーヒー」の記事はこちら

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