横浜ウォッチャー

All About横浜 ガイド・タナベのブログ。横浜で見た・聞いた・食べたことをさくっと綴ります。

映画『未来のミライ』公開記念イベントで「くんちゃん」が絵本『オニババ対ヒゲ』を読み聞かせるシーンを再現!

細田守監督の3年振りとなる新作、映画『未来のミライ』が2018年7月20日から公開開始に。それを記念し、7月22日に有隣堂横浜駅西口ジョイナス店で、細田守監督と主人公である4歳の男の子・くんちゃんの声を担当した上白石萌歌(かみしらいし もか)さんが登壇するトークショー&読み聞かせイベントが行われました。

f:id:travelyokohama:20180725044652j:plain▲左から、細田守監督、上白石萌歌さん、くんちゃん(2018年7月22日撮影)

 

抽選で選ばれた子どもたちとその保護者(約25組)を前に、細田監督と上白石さんがそれぞれ「皆さん、こんにちは~」とあいさつすると、子どもたちから「こんにちは!」と元気にあいさつが返ってきて、二人とも笑顔に。

 

“きょうだいが増える”という、子どもにとって大きな出来事を描きたかった

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トークショーの様子(撮影:島本絵梨佳)

映画『未来のミライ』を制作することとなったきっかけについて、細田監督は次のように語りました。

 

「自分の子どもが、いま5歳と2歳なんですけれど、そんな小さな子どもたちと一緒に暮らすアニメ映画がもっとあってもいいんじゃないかと。家族が増えるというところから、この映画の物語はスタートします。子どもにとって“きょうだいが増える”というのは、僕らが思っている以上に大きな出来事。その出会いは、きょうだいとして一生続いていくものですから、そんな大きな出来事を描きたいなと思い、制作しました」(細田監督)

 

細田監督が子どもたちに向けて「きょうだいいる人!」と呼びかけると、「はーい」と多くの挙手が。「ひとりっこはいる?」と問いかけると、ひとりが「はい」と挙手。「僕も同じ、ひとりっこ。きょうだいっていいなと思って、この映画を作ったんですよ」と、語り掛けました。

 

上白石さんは、「私はふたつ上の姉(=女優、歌手の上白石萌音<もね>さん)がいるんですけど、すごく仲がいいんです。小さいころからずっと一緒にいるのが当たり前で、親友みたいな存在。同業者でもあるので、いろんな相談をすることもあります」と、姉妹関係について披露。

 

「子どもっぽく演じない方が、くんちゃんの本質に迫れるんじゃないか」

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▲上白石さんを「くんちゃん」に選んだ理由を語る細田守監督(撮影:島本絵梨佳)

 

上白石さんを「くんちゃん」に選んだ理由について、細田監督は「くんちゃんと似てる人だな、と思ったんです。姿、外見はぜんぜん違いますけど、持ってるものが同じだなと。葛藤していたり、前に進みたいと思っていたり。『大きくなりたい』という、子どもの心を持っている人。それがステキだなと感じ、くんちゃんをお願いしました」と、説明。

 

もともとは、ミライちゃん役のオーディションを受けたという上白石さん。「当時は高校生だったので、まさか、4歳の男の子のくんちゃんの役をいただくことになるとは……ビックリしました」と感想を述べると、「僕もビックリしました」と細田監督もすぐさま同意。

 

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▲くんちゃんの役作りの苦労を語る、上白石萌歌さん(撮影:島本絵梨佳)

 

「くんちゃんの役は本当に難しくって。声のお仕事は今回が初めてで、声だけで表現するということで、いろいろ悩んでしまって……。子どもの実態が知りたいなと思って、保育園に足を運んで、実際に4歳の男の子と触れ合う機会を作りました。それが役作りのヒントになりました」と、役作りの苦労を暴露。

 

すると細田監督は、「最初は男の子っぽさを出して演じてくれていたんです。でも、子どもっぽく演じない方がくんちゃんの本質に迫れるんじゃないかと。素のままで演じてくれた方が、真実味が出るなと。それで、女の子の声に聞こえても、4歳児っぽくなくても、4歳の男の子だったらそういう要素もあるからいいのではと、あまり男の子は意識しなくていいですよ、とアドバイスしました」と、制作時の様子を明かしました。

 

楽しかったことは「くんちゃんを描いている時」

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▲来場者の子どもたちと記念撮影(撮影:島本絵梨佳)

 

来場者からの質問に答えるコーナーでは、『未来のミライ』を作っていて楽しかったところは? という質問が寄せられ、それぞれ次のように回答。

 

「くんちゃんを描いている時が楽しかったです。4歳の子が主人公で活躍するっていうアニメ映画はあまり作る機会がなかったので、スタッフみんなでくんちゃんを楽しく描きました」(細田監督)

 

「くんちゃんって、怒ったり、叫んだりするシーンが多かったのですが、床にのたうちまわっているシーンが演じていて楽しかったですね。自分の中にこんな感情が眠っていたんだなと。(その感情を)くんちゃんが引き出してくれたんだなと思います」(上白石さん)

 

 もうひとつの「いつから映画監督になろうと思ったのですか?」という問いには、「小学生のころからだと思います。絵を描くのが好きで、それを映画にする人ってすごいなと。小学生6年生のころに『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年公開、宮崎駿監督の映画初監督作品)という映画を観て、『こんなすごい人がいるんだ!』と。──後に、とっても有名な監督になるんですけれど──その映画の虜になって。その影響が大きいですね。(子どもたちに向かって)みんなのころに『将来、こういう大人になりたい』『こういう職業に就きたい』と思っていたら、なれるかもしれないよ!」と、細田監督が子どもたちにエールを送りました。

 

くんちゃんがミライちゃんに絵本を読み聞かせるシーンを再現

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▲読み聞かせを終え、笑顔がこぼれる上白石さん(撮影:島本絵梨佳)

 

トークショーに続き、『未来のミライ』の劇中で、上白石さん演じるくんちゃんが、赤ちゃんのミライちゃんに絵本『オニババ対ヒゲ』を読み聞かせるシーンを再現しました。

 

『オニババ対ヒゲ』は、同作のプロダクションデザインを担当した絵本作家ユニット・tupera tupera(ツペラ ツペラ)の二人と細田監督が映画のために制作した劇中絵本。「普通じゃない、ビックリするような絵本を作りましょう、とお願いしたら、擬音だけの絵本が出来上がってきて、ビックリした!」と細田監督が話す通り、擬音だけで構成されている絵本となっています。出版されているので購入することも可能です。

 

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▲くんちゃんがミライちゃんに絵本を読むシーン (C) 2018 スタジオ地図

 

ネタばれになりますが……、劇中では、くんちゃんが『オニババ対ヒゲ』をミライちゃんに見せながら、大好きな電車のストーリーを話しているのですが、あのシーン、くんちゃんが創作したストーリーだったとは、ちょっとビックリです!

 

さらに、上白石さんが大好きという絵本『はじめてのおつかい』(筒井頼子 作/林 明子 絵/福音館書店)の読み聞かせも行われ、上白石さんの語り口に子どもたちは引き込まれていました。

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▲「はじめてのおつかい」を読み聞かせする上白石さん(2018年7月22日撮影)

 

イベントの最後、おふたりは次のように締めくくりました。

 

「子どもたちにとっては夏の大冒険の映画、子育て中のお父さんお母さんにとっては共感していただける部分が多い作品となっています。何度でも劇場に足を運んでいただければ、と思います」(上白石さん)

 

「『未来のミライ』は、ウチの子に絵本を読んであげる気持ちで作りました。劇場で楽しんでいただければ、と思います。小さなころの時間というのはかけがえのないもの。大事にして生きていきたいなと。子どもはどんどん成長、変化していきますが、その瞬間瞬間、子どもと一緒にいい時間を過ごしたなということが、皆さんの中に素晴らしい記憶としてありますように、と願っています」(細田監督)

 

ジョイナスでは特別展示イベント開催

横浜駅西口・ジョイナスでは、映画『未来のミライ』公開記念&角川文庫70周年記念展示「未来への道 ~細田守の世界と絵本の通り道~」が開催中。有隣堂横浜駅西口店に隣接する約70mにおよぶ地下1階通路の壁面が「冒険・絆・成長――細田守の夏がやってくる」をコンセプトに、細田守監督作品の世界観でジャックされています。

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▲『未来のミライ』には、1946年(左)と2008年(右)の横浜市磯子区近辺の風景が登場。劇中カットが展示されています(2018年7月22日撮影)

 

未来のミライ』から生まれた絵本『ミライちゃん、すきくないの』の巨大絵本をはじめ、『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』までの細田作品の名場面・名言で構成された壁面装飾は圧巻です。8月31日(金)まで(予定)。

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▲映画『未来のミライ』公開記念&角川文庫70周年記念展示「未来への道 ~細田守の世界と絵本の通り道~」 展示風景(2018年7月22日撮影)

 

mirai-no-mirai.jp

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【映画『未来のミライ』詳細情報】
2018年7月20日(金)全国ロードショー 監督・脚本・原作/細田守
キャスト/上白石萌歌黒木華星野源麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子
役所広司福山雅治
音楽/高木正勝 オープニングテーマ・エンディングテーマ/山下達郎
作画監督青山浩行、秦綾子 美術監督/大森崇、髙松洋平 プロデューサー/齋藤優一郎
企画・制作/スタジオ地図


【物語】
小さな庭から時をこえる旅へ―それは過去から未来へつながる、家族と命の物語。
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(4歳)に生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。そんな時、くんちゃんがその庭で自分のことを“お兄ちゃん”と呼ぶ、“未来からやってきた妹”、ミライちゃんと出会います。
ミライちゃんに導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つくんちゃん。それは小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。
待ち受ける見たことない世界。そして、初めて知る様々な「家族の愛」の形。
様々な時間を経て、ささやかな成長を遂げていく、くんちゃん。
果たして、くんちゃんが最後にたどり着いた場所とは?ミライちゃんがやってきた本当の理由とは――