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横浜ウォッチャー

All About横浜 ガイド・タナベのブログ。横浜で見た・聞いた・食べたことをさくっと綴ります。

森山未來が企画・出演するダンス公演が映画館跡地で上演

横浜のまちをステージに多彩なダンスイベントが繰り広げられる「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015」。番外特別プログラムとして、役者、ダンサーの森山未來さんが企画・出演する「JUDAS, CHRIST WITH SOY ユダ、キリスト ウィズ ソイ~太宰治「駈込み訴え」より~」が、いよいよ10月10日~12日に上演されます。

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▲上演に先駆けて行われた、記者会見の一コマ(2015年10月2日撮影)

 

同作は、森山未來さんが平成25年度文化交流使としてイスラエルに滞在していた際に、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラックダンスカンパニー、バットシェバ舞踊団を経て、現在フリーランスとしてテルアビブで精力的に活動するイスラエル人アーティスト、エラ・ホチルドさんと太宰治著「駈込み訴え」を土台として制作されたパフォーマンス作品です。

 

2014年9月にイスラエル・テルアビブにてプレミア公演の後、今年7月に愛媛県内子座にて、音楽に吉井盛悟さんを迎え1ヵ月間のレジデンスを経て再演。今回の横浜・HONMOKU AREA-2での上演では、音楽に蓮沼執太さんを迎えてリクリエーションを発表します。

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f:id:travelyokohama:20151002030646j:plain▲過去の公演のようす。Photo: Matron(2枚とも)

 

10月2日に開かれた記者会見では、森山未來さん、エラ・ホチルドさん、蓮沼執太さんが登壇、HONMOKU AREA-2での上演に向けての思いを語りました。

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森山さん:太宰治の「駈込み訴え」は、学生時代に出会い、20代ぐらいから舞台化したいと思っていた作品です。

 

彼女(エラさん)とともに小説を読みながら、ストーリーを追うわけではなく、いろいろな違和感──僕は日本人で彼女はイスラエル人、男で女で、キャリアも、言語も、文化も違う──違うからこそ通じ合う、分かり合っているようで分かり合っていない、コミュニケーションであったりディスコミュニケーションであったり、そういったものが自然にセッションを通じて生まれていく。それは「駈込み訴え」に出てくるユダとキリストの愛情、憎しみ、裏返った愛情。通じ合っているのか、通じ合っていないのか。そういったことが、この作品に通じている、と感じています。

 

セッションを重ねていくごとに、どんどん作品が新しく構築されていく、更新されていくようすが、味わえる作品だと思います。

 

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エラさん:森山さんとの対話(=ダイアログ)は、非常に興味深いです。いろいろな場所でリハーサル、公演を行い、いろいろな人との交わりの中で、それぞれの関係性を見せ合いながら、この作品を作りあげてきました。対話を重ねることで、アーティストとしての理解が深まっていったと思います。

 

イスラエルの公演の後、それぞれ違う場所で仕事をし、そして内子でまた一緒に仕事することになったわけですが、(イスラエル公演とは異なる)ギャップや新鮮な気持ちが生まれました。横浜の公演では、蓮沼さんという要素が加わり、また(この舞台が)更新されました。

 

私自身、振付家として、この作品は非常にチャレンジングなものです。もちろん、それはあらゆる作品について言えることですが、特にこの作品については、そう思います。

 

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蓮沼さん:「再演」というと、できあがったものをもう一度楽しんでもらいたい、という気持ちがあると思うんですけれど、(ふたりは)殻を破っていこうということで、僕を選んでいただけたのは、とても光栄です。いい作品になればいいな、という気持ちでのぞんでいます。

 

音楽の要素というのは、いろいろな作り方があると思うんです。ダンスだったり、演劇だったり、映画だったり、いろいろなものに対する音楽というものがありますが、今回は、(ふたりがお話した通り)リクリエーションを重ねているんですね。稽古の現場にいながら音楽をつくる、というのは好きですね。ふたりが「あーだ、こーだ」会話している横に僕がいて、「こういう空気を出しているんだ。じゃあ、こうしよう」という感じで、音楽で参加できたらいいなと。

 

まだ始まったばかりなので、ふたりの絆に「えいっ、えいっ」と入り込んでいけたら……と(笑)。僕が一番楽しみにしているかもしれません。

 

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質疑応答

Q:HONMOKU AREA-2の印象は?
A:エラさん:映画館そのもの! この作品にとっては、良い場所ではありませんね(笑)。ですが、私たちは与えられた場所で公演を行わねばなりません。私にとっても挑戦です。映画館というステージが、作品によい効果を与えてくれることでしょう。


森山さん:数ヵ月前に写真で見ただけで、「こういう場所です」という話は聞いていましたが、昨日、実際に現場を見て、スクリーンも客席もないけど、映画館だなと。特設舞台を作ったり、照明を立てたりして、劇場風にしようと。

これまでに、イスラエルや内子で上演してきましたが、内子でよりベーシックな作品を作りあげることができたかな、と思っています。内子だからこそ生まれたニュアンスというものがあります。

今回は映画館というスペース、よりプレーンな空間で作品をつくる、という意味では、作品の強度が試される公演になるのかなぁと。ただ、映画館というスペースで上演するということをイメージして、変えてもいいのかな、と、話し合っているところです。ここに執太くんの音楽が関わってきて、大事な要素になるんじゃないかなと。

映画というのは、生で観ているのに、スクリーンに映し出されるのは生ではなくて、違う世界で起こっていること……なんて言ったらいいのかな……“ひずみ”というか……。そこで話しているのに、話していないというか。それが、この作品に合っている気がします。

 

蓮沼さん:映画館って「ブラックボックス」ですよね。映画を観る環境が整っている場所ですよね。ひとつのスクリーンがあって、ふたつのスピーカーがあって。どの席に座っても、基本的に同じ体験が得られるという。それが解体されて、スクリーンがない状態というのは、明らかに何かが欠けているんですよ。デコボコなんですね、場所も、音響空間も。これからパフォーマンスをするにあたり、たくさんディスカッションしたんですが、僕らも音響チームとして、「ああいう音響効果が得られるんじゃないか」とか。

僕は、音が鳴らない場所でも音を鳴らすタイプなんです。ライブハウスやコンサートホールでライブをするだけじゃなくて、音がない場所に音楽をつくる環境をわざとつくり、そこでパフォーマンスする、ということをよくやっているので、今回もその延長で乗り込めるかなぁと。

 未來くんが「いろんな音が聞こえるかもしれない」と細かく考えている効果も使えるでしょうし、「元・映画館だった」という効果も使えるでしょうし。彼らが積み重ねてきた作品の中で、また違った関わり方ができたらいいな、と。彼らの反応を見て、一緒につくっていきます。僕も演奏するので、うまく引き出せたらいいな、と思っています。

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Q:今回のリクリエーションにあたり、「横浜」は意識しましたか?

A:エラさん:ここに来て、まだ2日間しか経っていないので……(笑)。ダンスカンパニーに入っていた時に、訪れているかもしれませんが……。今は、ホテルとリハーサルルームを往復する間も作品のことばかり考えているので、道ですれ違っても眉をひそめていると思います。もう少し日が経ったら、また質問してもらえますか(笑)? 

 

森山さん:僕は兵庫県の神戸市出身なので、海が近く、毎回懐かしみを覚える場所です。横浜という場所からどれだけのものが得られるかはまだわからないのですが、HONMOKU AREA-2がある本牧からは多くのインプレッションを受けています。一番はじめに接収されたエリアということで、アメリカ文化が空間に色濃く残っていますから、何かしらの影響は出てくると思います。

……あ、野毛は好きなので、そのうちぶらぶらしたいですね(笑)。

 

蓮沼さん:シアター・ピースや横浜トリエンナーレなど、横浜はいろいろと公演を行っている場所です。僕は東京で生まれ育っているので、横浜へ移動する時間に心地良さを感じています。あまり深くは考えてはいないのですが。ちょうどいい感じなんです。徐々に仕事モードにチューニングされていく感じ。「今日は稽古場に着いたら、あれしよう、これしよう」と。そういう“心地よさ”は、活かされると思います!

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太宰治の「駈込み訴え」に描かれたユダとキリストの複雑な関係を元に、ムーブメントとテキスト、そして音楽を組み合わせた作品。性別も国籍も文化も異なる二人が、対話を通じて互いに自分の考えを伝え合おうとする姿が描かれています。そして、ストーリーは予期しない解釈へ──。HONMOKU AREA-2での公演がどのような作品になるのか、楽しみですね! ただいまチケット発売中。日によっては残りわずかですので、お早目にどうぞ。下記公式サイトをご覧ください。

 

■Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015 番外特別プログラム
JUDAS, CHRIST WITH SOY ユダ、キリスト ウィズ ソイ~太宰治「駈込み訴え」より~
日時:2015年10月10日(土)19:30 開演、11日(日)14:00/18:00 開演、12日(月・祝)14:00 開演 ※開場時間は開演の30分前
会場:横浜・HONMOKU AREA-2(旧マイカル本牧の映画館跡)
出演:森山未來、エラ・ホチルド
音楽:蓮沼執太
料金:前売4000円 当日4500円 学生2500円

dance-yokohama.jp